お話し

台風が来た!

ゆうごう君はいつものように、海辺の高台にあるお家から、小学校へ登校していきました。


小学校は海から離れた丘の上にあります。


ゆうごうくんははうねうねと続く丘の道を、いつもの鼻歌を歌いながら、道端の『宝物』を見つけたりしながら、登っていきます。


その道の途中、海に向かってふと振り返ると、キラキラと広がる海が見えます。


でも今日は雲が低く垂れ込めて、なんだか雨が降ってきそう。


小学校の授業が終わる頃には雨が降り出し、お帰りの会では担任の服部先生から台風が来ていることを告げられます。


服部先生は眼鏡をかけた心優しい若い男の先生です。

『みなさんもしっているとおり、台風が来ているので、今晩から明日にかけて雨がひどくなります。ですから、朝7時前に電話連絡網できゅうこうになるかどうか、お知らせしますね』

生徒たちはえっ〜と驚いたり、やった〜休みだ〜とはしゃいだり、いろいろです。


ゆうごうくんは、心の中で、「台風か…ポポちゃん達は大丈夫かなぁ」と心配になりました。


会が終わり、みんなで、さようなら!を言うと、時折ブオーッと吹き付ける風と雨の中、傘を横に傾むけたりしながら、一目散にお家へ向かいました。


お家にかえり、ただいまーと玄関を入るとママが奥からおかえり❣️と笑顔で迎えてくれました。


大変だったね〜大丈夫?


と聞いてくれました。


大丈夫!すぐ帰ってきたし!


と、ゆうごうくんは元気に答え、ランドセルをふっくにかけると、うがいと手洗いを済まし、リビングのママに聞きました。


ねぇ、ママ、台風になると、海の中はどうなっちゃうの?ポポちゃん達は大丈夫かなぁ?


するとママは


そうね。台風で潮も満ちているし、波も荒くなるから、海の中も大荒れよね。

でも、イルカさんや海の生き物達は、岩かげに身を潜めたり、さらに深く潜ったり、避難してるから、きっと、ポポちゃん達は大丈夫よ

とニコッと笑ってくれました。

ゆうごうくんはそれを聞き、ホッとしました。


でも夕ご飯が終わり外をみると、さらに風は強まり、ブオッーと吹き荒れ、海辺のヤシの木はまるで髪を振りまわすように、揺れていました。


ゆうごう君はポポちゃん達の事を思いながら、布団に入り、


どうか、かみさま、ポポちゃん達がつらいことにあってませんように…


と思いながら、うとうとと眠りについたのでした。